少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録


文責 赤木智弘(東天王ヨブ)

 少なくとも私はテレビシリーズ化されたアニメ映画でここまで洗練された作品を初めて見た。
 たいていこういったカテゴライズの作品は「原作やテレビシリーズを見ていなければ分からない」というのが相場だが、この作品は映画のみでしっかりと完結している。
 テレビシリーズから、この作品で一貫して語られているのは「自らの殻を打ち破れ」であるが、劇場版ではその主題がハッキリと語られており、テレビシリーズよりもすっきりとしている。このすっきり感はそれだけこの作品が洗練されているから得られるものである。

 また、表現手法も実に洗練されている。

 (殻の中の)自我を表す「鳳学園」の超巨大ラビリントス的複雑構造。
 自らが勝つべくして組まれたその中での戦い。

 特筆すべきはクライマックスへと突き進むカーチェイス。
 その疾走感は「少女革命ウテナ」の全てを飲み込んでいく。

 外の世界へ飛びだそうとするウテナ達を嫉み潰そうとする「枝織カー」や無数のクルマ達。
 彼らの妨害に傷つきボロボロになっていく「ウテナ・カー」。
 巨大な幻想が現実の醜く威圧的な正体を表す「お城カー」。
 そして最強最大の幻影としての「王子様」。

 瓦解する幻想。
 残されるものは最低限のクルマの機関と2人の少女のみ。


 ただ惜しむらくはこの作品が「単なるアニメ映画」という位置にあることだ。
 ハッキリ言ってこの「ウテナ」に比べれば、「もののけ姫」の「生きろ」は余りにも偽善に満ちている。だからこの作品は「もののけ」以上に売れていいはずだ。
 このような作品が正当に評価されないことを私は非常に残念に思う。だからせめてこれを読んだ人にだけはぜひ見て欲しい。


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